2019年アカデミー賞受賞作品。
アメリカでホワイトハウスにも招かれ演奏をした、天才ピアニストのドクター・シャーリーとナイトクラブの用心棒をしていた、みんなに好かれて口が達者なトニー・リップの物語。
黒人差別が色濃く残る1960年代、新たな仕事を探していたトニーはドクター・シャーリーの運転手の仕事を見つけて契約する。南部地域のコンサートツアーに二人は出かけるが、様々な苦難が待ち受けている。そこで二人はどのような行動をとったのか…差別と友情をテーマにした作品だ。
友情は差別を乗り越えられる
トニーとドクは長く旅をすることで友情を育んでいくのだが、南部地域と言えばアメリカの南北戦争で奴隷制度を肯定して戦った地域だ。つまり、もともと黒人差別が強く残っている地域だ。今ではそこまで強くはないのだろうが、それでもまだまだ欧米には人種差別が残る。
そんな差別が強い地域に黒人であるドクがあえてツアーを行うのだ。もちろん、差別が強い地域だけあって、白人からの迫害を受けやすい。そこで、黒人が安心して泊まれる場所や黒人が安心して食事ができるレストランを紹介した「グリーンブック」を頼りに、ドクは寝泊まりをしていく。
黒人差別をしている白人の人たちは特に悪気があるようには見えない。本当にそれが当たり前のように接している。黒人だとコレが当たり前、何を疑問に思う事があるのだろう?というような感じだ。南部に黒人差別が強く残るというアメリカの歴史を知ってから、この作品を見れば理解が深まるだろう。
差別に会いながらも、トニーとドクの友情は深まっていく。もともとトニーは黒人にスラングを吐いたりするくらい、黒人差別を自然に行っていた。しかし友情を育んでいく上で、それはおかしいと思うようになるのだ。まさに友情が差別に打ち勝つ瞬間だろう。
淡々と進むストーリーだが、すごく良い作品だった。オススメだ。