トヨタの労使交渉が長引いたそうだ。そこで社長の豊田章男氏から「組合・会社ともに危機感がないのではないか?」と一括したそうだ。結果的には交渉はまとまっていつもどおり満額回答だったそうだ。
さて、なぜこのようなことになったのか?トヨタの現状を見ていただければ、一目瞭然といったところだろう。あまり詳しい資料はないが、トヨタが公表している資料だけでも、ある程度推測できる。
多すぎる従業員を抱えていることは明らか
(参照:https://www.toyota.co.jp/pages/contents/jpn/investors/library/annual/pdf/2018/ar2018_4.pdf)
上記の図を見てほしい。トヨタが発表しているもので、正確な数字はわからないのだが、右の円グラフ3つを見てほしい。上が従業員数の割合、真ん中が生産台数、下が販売台数だ。そして、その中でも青色が日本だが、まとめると下記の通りになる。
- 全従業員の過半数が日本人従業員
- 日本での生産台数は世界での生産台数よりも少ない
- 日本での販売台数は世界の約25%
つまり今のトヨタは日本で多くの従業員を雇用しているにもかかわらず、生産台数は少なく、販売台数は大変少ない状況なのだ。
当たり前だがビジネスは生産性を上げて行く必要がある。トヨタはグローバル企業なので、世界を基準にして生産性を向上させていかなければならない。データを見れば、生産性が高いのは海外だし、海外のほうが販売実績も良い。であれば、本来なら海外で生産して海外で作るほうがコストを抑えることができ、利益も多く残せる。
しかし今のトヨタは日本人従業員を多く雇用しながらも、あまり生産ができていない。本来、海外で雇用して生産すれば、何倍にも生産力が上がる可能性がある。ましてや海外にトヨタの工場を建設し、トヨタで働く人が増えれば愛着を持ってトヨタ車を購入してくれる可能性もある。それらのチャンスを見捨てているのだ。
だからこそ豊田章男社長は一喝したわけだ。
日本が足を引っ張る状況をいつまで許容できるか?
トヨタの発表している資料から見ても、日本の従業員はトヨタの業績の足かせになっている。この状況をどう考えるのか?そして、それがいつまでも続かないということを気づかせたいということなのだろう。
トヨタの業績から見ればあと数年はこのままでも大丈夫だろうが、いつかはグローバル競争に負けないために、日本でのあり方を考えなければならないのだろう。そしてそれは近い将来なのではなかろうか。