世界を救ったというのはなかなか大言壮語ではあるが、歴史的に名を残した人であることは変わりない。ナチスドイツがどんどん諸国を侵攻していき、第二次世界大戦に入る前後の物語だ。
チャーチルは保守党の議員だったが、チャーチルの首相就任を後押ししたのは保守党ではなく、労働党だったそうだ。チャーチルはドイツに対して強行派、戦争も辞さないというタイプで、それを左翼である労働党は望んでいた。この頃から、左翼というのは好戦的だったわけだ。チャーチルの徹底抗戦の演説に対しても、大きな声援を送っていたのは労働党だった。
追い込まれて追い込まれて、初心に戻る
ナチスドイツがポーランドを侵攻し、ベルギーやフランスへと足を伸ばしていった時、イギリスもそこに参戦している。フランス軍と合同軍を組んでいたのだが、残念ながらナチスドイツの勢いに押されて、海岸沿いまで押し込まれてしまった。映画にもなったダンケルクまで追い詰められたのだ。
そのくらいイギリス・フランスは追い込まれていた。ベルギーは何も抵抗しなかったし、デンマークやノルウェーなども占領され、それほど勢いがナチスドイツにはあった。劣勢に追い込まれたチャーチルは頭を悩ませたのだが、そこに「和平交渉をヒトラーとしよう」と言い出す官僚も表れる。
今から考えれば「独裁者であるヒトラーと和平交渉なんてありえんだろ」と思ってしまうが、当時の状況だったらどうだろうか。フランスも占領されて、イギリスにナチスドイツがやってくる、空襲されて国土に上陸されてロンドンが戦場になる…それを避けるためなら、独裁者とでも和平交渉をと考える人がいても不思議ではない。
結果的にチャーチルは悩むことになり、和平交渉を進めようとする。しかし、地下鉄に乗ったときに国民の声を直接聞いて、また強硬路線に戻ることになった。この地下鉄に乗ったというエピソードはフィクションだそうだが、何かきっかけがあって強硬路線に戻ったのだろう。
国民が望むことを行うというのが政治家であるという初心に戻ったわけである。
演説がなかなか熱い映画ではあるので、時間があるときに見てはいかがだろうか。Amazonプライム会員は無料だ。