
- 作者: トーマス・H・ダベンポート,有限責任監査法人トーマツデロイトアナリティクス,小林啓倫
- 出版社/メーカー: 日経BP
- 発売日: 2014/05/01
- メディア: 単行本
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ビッグデータという言葉が出てきて久しい。当たり前のように使われているんだけれども、ビッグデータって何?って言われると、ちゃんと答えられる人は少ない。日本でもビッグデータが実用されるようになったのはここ最近だから仕方ない。
ビッグデータは定形でないバラバラになっているデータのことを指すのだが、世の中にはそれが驚くくらい存在している。本書では2012年に生成されたデータは2.8ゼタバイトと記されている。ただ、そのほとんどが非定型のデータなのだ。
不足するデータサイエンティスト
2.8ゼタバイト(≒2.8兆ギガバイト)という大きなデータ量を使いこなせている企業はまだない。大企業もそうだし、中小企業もそうだ。そんなデータをAmazonやFacebook、Googleなどが活用しようとしている。
こんなにたくさんのデータを何に活用するか?というと、本書では下記の3つに活用出来るとしている。いずれもビジネスにおいて非常に重要な項目だ。
- コストの削減
- 意思決定の改善
- 製品・サービスの改善
非常に重要なビッグデータ活用ではあるが、実際にこのデータを活用出来る人材というのは少ない。データサイエンティストに求められる能力は以下の5つだという
- ハッカー
- サイエンティスト
- アドバイザー
- 計量アナリスト
- ビジネス・エキスパート
ポイントはこれらのスキルすべてを持っている人はそうそういないということ、いても1つか2つのスキルを持っている人材でも希少であるということだ。プログラミングができて科学的な意識決定ができて、コミュニケーション力があり、意思決定者に上手に説明するテキスト・画像・映像などのプレゼン資料が作れて、さらにビジネス・マネタイズが上手な人なんているわけがないことがわかるだろう。
なのでほとんどの場合、1つか2つのスキルを持つ人達がチームを組んでプロジェクトにあたっているというわけだ。
ビッグデータで出来ること・出来ないこと
本書ではビッグデータブームに踊らされること無く、ビッグデータを活用することで出来ることを紹介し、できないことも並行して紹介している。出来ることについては上記で紹介したとおり、3つのことが考えられる。
ではビッグデータを使ってもできないことはなんだろうか?逆に言えば3つのこと以外は出来ないとも言える。例えば「ビッグデータでイノベーションを!」と考えている人も少なくないだろうが、イノベーションについては一切この本では出てこない。
また新製品・新サービスの開発などもビッグデータからは難しい。確かにビッグデータからそれらしきニーズは把握することが出来るが、新しい商品・サービスを作っても確実にヒットするとは言えない。消費者心理や景気など、不安定要素が他にもあるためだ。
ビッグデータブームも収束したわけだし、今こそ落ち着いて読むと良い勉強になるかもしれない。