こういうのって1社が手を付けると他もやらざるをえないから同業は戦々恐々としてるんじゃないか。 → 損保ジャパン、4000人削減=ITで効率化、介護分野などに配転(時事通信) - Yahoo!ニュース https://t.co/xrINVdtcd1
— jo shigeyuki (@joshigeyuki) June 24, 2019
介護A社「うち万年人手不足なんすよ」
— jo shigeyuki (@joshigeyuki) June 25, 2019
大手B社「うち中高年余りまくりなんですが」
介護A社「じゃあうちを買収してください。配属し放題ですよ!」
大手B社「いいね!のった!」
↑これは流行るんじゃないか(苦笑)
城さんが紹介していたのだが、これすごい方法だなと思う。というか、こういうのが許されていて、さらにこういう配置転換に従うというのが信じられないが…しかし確かにこれは事業を行う人間としてはWin-Winなので、許されるのであればもっと多くの企業が行うのではなかろうか。
もっと言えば、別に介護だけに限らない。飲食・土木・警備などの業界も慢性的に人手不足なので、こういった業界とのコラボレーションも多くなるかもしれない。
厳しい日本の解雇規制
日本は大手企業になればなるほど、解雇規制が厳しく簡単にクビにすることが出来ない。そのため、退職金を上乗せして希望退職者を募り、人材調整をしてきた。IBMなどでは退職用の部署を作り、追い出し部屋と呼ばれてリストラを行うなどの手法も見られた。そのくらい、大手になればなるほど簡単に解雇は出来ず、回りくどいやり方をしている。
最近だとNECの社員が解雇された件で裁判になっているが、こちらも非常に日本の解雇が難しいことを表している。見出しは「子育てに支障が出るから転勤を拒否したら解雇された」というようになっているが、実際にはもっと根深い話のようだ。
最近は社内郵便物の仕分けをしていたようだが、拠点が閉鎖するために他の拠点への転勤を打診されているようだ。その前にはシステムエンジニアとしての配置転換を打診されていたが、それも拒否。そして清掃現場への配置転換も拒否していたようだ。企業としてはなんとか活用出来るところを探そうとしているのがわかる。
ただ、これも日本的だなと思う。なぜならもし拠点が廃止されて人材に余剰が出るなら、解雇されるのが当たり前だ。もちろん解雇されてその後に他の企業に就職するだけの転職市場が広がっているからこそできることでもある。今の日本の状態だと、仮にNECが全国の拠点を閉鎖し、東京1店舗だけにしたとしても、このニュースのように従業員が働く部署を探して作らないといけない可能性もある。
新しい日本のレイオフスキームになるか?
解雇するのが難しい、NECやIBMのようにシステムエンジニアに配置を増やしたいが、SEが出来ない人材も一度採用したら最後まで抱えなければいけないのが日本だ。そこで損保ジャパンのこのスキームだ。損保ジャパンはメッセージという介護大手、そしてワタミグループの介護事業を買収している。この介護事業に余剰の事務員や営業職員などを配置転換しようというのだ。
もしこれで4000人が介護事業に行けば、介護業界としては人手不足なのでありがたい話だ。損保ジャパンのような大手企業もIT化によって余剰人員を抱えている。特に事務員は非常に余っている。そういった余剰人員を介護業界に引き取ってもらえるのだから、企業体質は筋肉質になり、利益率も上がるだろう。まさに事業者にとってWin-Winなのだ。
とはいえ労働者からしたらたまったものではない。本来、事務員や保険外交員として入ったにもかかわらず、介護の事業をしなければならないのだ。本来やりたいと思っていた仕事ではないのではなかろうか。さらに介護業界の水準に給与が合わせられるので、給与が下がる人も出てくるだろう。
もちろん労働者は拒否する権利はある。ただ、配置転換についての権利は企業側に大きく認められている。特に日本の場合は細かなジョブディスクリプションを明記した雇用契約書を交わすところは少ないため、総合職で雇用されている人はよほど不利益を被らない限り、拒否が難しい。
海外ではこういった配置転換があったとしても、嫌ならやめればいいだけだし、次の仕事を探せばいい。しかし日本の場合は終身雇用を前提としているため、企業に定年まで属することが労働者の利益となるように設計されている。そのため、途中で介護職に配置転換を命令されても、やめるにやめられない。住宅ローンや子供の教育費、退職金などすべてが終身雇用を前提に作られている。
だからこそこういった日本独自のスキームが生まれたわけだ。城さんは今後こういったことが流行するかもしれないというが、これが裁判でも認められたなら、大企業はこぞって介護・飲食・警備・土木の会社などを買収するだろう。そして余剰人員をどんどん人手不足の子会社に配置転換していくのだ。
本当にこれでいいの?労働者の皆さん
日本では終身雇用を守ることが第一と考えられ、そのためには配置転換や転勤はやむを得ないと考えられている。それが従業員の利益だと。
しかし時代は変化し、今やトヨタですら従業員の終身雇用を考えられないと発言している。そんなときに会社の言うように「あなたは明日から介護の会社で働いてね」と言われて「はい、定年まで雇用してもらえるならがんばります」というのが良いのだろうか?もちろん仕事は何でもいいから定年まで雇用してくれたらそれがいいという人もいるとは思う。
会社任せの人生というのが本当にいいのか、労働者は考える時期が来ているのではないか。