日本で多くの人が乾杯のときに「ルネッサーンス」というのが当たり前になるほどのブームになった髭男爵の山田ルイ53世が書いた本。実は彼は髭男爵で華々しく売れるまでの間、特に中学・高校と引きこもり人生だったようだ。全く家を出られないというわけではなかったようだが、少なくとも「人生のレール」には乗れていなかった。
中学・高校での失敗はなぜ人生で衝撃が大きいのか
山田ルイ53世は子供の頃にうんこを漏らしたことがなんとなく周りに知られてしまったこと、それがきっかけでヒキコモリが始まってしまったようだ。確かに学生時代はうんこ問題は非常にショックが大きい。漏らしてしまえばそれでショックのあまり、引きこもるのもわからないでもない。
ただそのひきこもりが長く続いてしまい、数年間ほとんど家から出ない生活になってしまったようだ。
しかしなぜここまで中学・高校での失敗というのは大きくその後の人生の尾を引くのだろうか?私も中学時代に少しだけだが不登校になった。いろいろと周りからのプレッシャーが大きく、期待に答えられずに挫折したのだ。で、休むことも多くなってしまった。成績も大きく落とした。
中学・高校で少しこけてしまうと、不思議とその後の復帰手段が日本だと少ない。最近ではやっとフリースクールや私の会社で行っている放課後等デイサービスなどに通うことで、社会とのつながりを持ちつつ違う道で挑戦することもできやすくなっているが、25年前にはそういうものもほとんどなかっただろう。
いわゆるレールから外れてしまうと、なかなか復帰出来ない。それは昔も、そして今も変わらないだろう。
人間の弱い部分こそ最も人間らしい
私はネットで威勢のよい話をしている人、例えば儲かるだとか世界を変えるというような意識の高い話も嫌いではない。しかしそれ以上にこういった人間の弱い部分、失敗してへこんでしまったり、どうにもうまく行かずにもがいている部分などに非常に興味があるし、人間味を感じる。
こうやってわざわざ自分がうまく行かなかったという部分をさらけ出して書いてくれることは、すごく魅力的でかっこいいと思う。純白のメルセデス、プール付きのマンション、最高の女とベッドでドン・ペリニヨンもいいだろう。しかし私にはそのようなきらびやかな世界は眩しすぎる。
もっとこういう人間臭い、泥臭い匂いのする人生のほうが性に合っているのかもしれない。