エンジニアに低スペックPCが支給される問題について、エンジニアが上司を説得するのはムダだからどんどん転職すべきっていう意見は半分賛成なんだが、半分反対なところがある。まぁ下記のツイートの通りなんだけど、結局どこに言ったってより良い職場にするためには会社や上司を説得する必要はあるわけだ。GAFAだって、何も言わずにすべて満足できるわけじゃないだろう。
全然転職できるならやったらいいと思うし、NTTの方はかなり優秀そうだから転職できて当然。でもGAFAだろうがどこだろうが上司を説得しないといけない部分に必ずぶち当たるんだから、その能力はあったほうがいい。 / “開発マシンの人権…” https://t.co/XdUEoCcIT9
— 松本孝行 (@outroad) November 30, 2018
で、私はエンジニアではなくウェブマーケターであり、営業・ディレクションあたりをメインでやってきたので、そっちからの話をすると、こういう話は他の職種でもよくあることだ。
営業マンは成績によって差別される
例えばよくある営業成績が張り出されるような企業だとわかりやすい。例えば成績の悪い営業マンには「足で稼げ!」と言われて徒歩で回ることを強要されるが、成績がトップの営業マンはタクシーを使うことも許されるし、キャバクラの接待なども許されたりする。
営業マンにとって移動というのはすごく重要なのだが、その移動コストを成績によって制限されてしまう。これはグローバル企業の社長、最近だとゴーンさんもそうだしジャック・ウェルチなどもそうだが、プライベートジェットで移動できるように、優秀な人ほど移動にコストをかけられるわけだ。
逆に言えば移動にコストがかけられない企業も多く、営業マンはシェアカーを使う、徒歩・電車だけ使えるというようなこともある。保険会社などは自転車で回るということもよく聞く。営業マンの場合、優秀=売上が多いなので、売上を多く上げる会社・営業マンほどコストをかけられる。
日本のIT企業をGAFAと比べてはだめ
日本のIT企業、SIerのトップはNTTデータだ。NTTデータの売上高は2017年、2兆1171億円となっている(業績・財務ハイライト | NTTデータ)。ではGAFAはどうだろうか?きっかけになった方はNTT研究所からGoogleで比較してみると、2017年は約12.2兆円となっている(2017年のアルファベットの売上が1,109億ドル(約12.2兆円)を記録─2017年Q4の決算報告から)。
日本が国としてもバックアップしているNTTデータの6倍近い売上高をGoogleは記録している。NTTグループ全体で約12兆円だそうなので、Google1社に対してNTTグループ全体でやっと追いつくくらいだ(数字で見るNTTグループ)。
では従業員数とNTTデータは約12万人、Googleは85,050人だそうだ。各々「NTTデータ 従業員数」「Google 従業員数」で検索してもらうと出てくる。従業員一人あたり売上高はNTTデータは17,642,500円、Googleは143,445,032円となっている。一人あたり売上高1700万円もすごいが、Googleは1億4300万円も売り上げている。
これだけの差があるのだから、当たり前なのだけれどもGoogleと同じだけの待遇をNTTデータで求められるわけがない。売上高だけで比較すれば10分の1の待遇でもおかしくはない。日本でトップのNTTデータでこれなのだから、それ以外の企業や中堅・中小企業ならなおさらだ。
スペックが先か売上が先か
とは言え「スペックが先か売上が先か」という問題もあるだろう。スペックさえ良いものにすれば売上がどんどん上がるという可能性もあるし、売上が低いからスペックを上げられないということもある。これはどちらが優先されるべきかはなかなか難しい。
ただ、従業員側から考えると、スペックの高いPCを用意してもらったら、その分の売上や利益に貢献しないといけないプレッシャーが出てくる。例えばGAFAで働くエンジニアと同じだけのスペック・待遇にしたときに自分が同じだけのパフォーマンスを上げられるだろうか?もちろんビジネスモデルも違うので、簡単には比較できないが雇用主や上司からのプレッシャーは開発環境が良くなるたびにかかってくるのは間違いない。
結局のところ、やっぱりタイトルの通りでスペックの高いPCを与えられたらそれだけ高いパフォーマンスを求められるわけで、そのプレッシャーに耐えられる優秀な人だけがスペックの高いPCを与えられるのだろう。営業マンも同じでキャバクラの接待費やタクシー移動などを許す代わりに、高い成績を求められるプレッシャーがのしかかる。
優秀に慣れば自然と良いPCが与えられ、求められるレベルも高くなるのだから、よい職場環境を作りたいなら自分が成績を残せる人材になるのが最もてっとり早いような気もする。