大学院生の方が上記ブログを書いていて、こんなことを言っている。
ただ、いくら商品のなかに潜在価値があったとしても、顧客からはほとんど見えません。
よってこの潜在的価値をうまく提示することで、顧客が見ている商品の価値を高めることこそが営業の仕事だと私は考えます。
確かに単価を上げるということは大事だ。価値を感じてもらって顧客が商品に高い値段をつけて購入してくれるなら、それは営業として大変正しい行為だ。
が、残念ながらそううまくいかないのが営業だ。大学院生の方は
- 商品やサービスの価値を提示
- その価値を顧客が高評価
- 高い値段で受注してくれる
となることが営業では大事、といっている。しかし残念ながら、顧客の多くは価値を感じて購入するということはほとんどない。特にBtoBの場合は他の要素が大きく関わってくる。
そこで私が大きく受注できたパターンというのを2つ紹介したいと思う。
その1:顧客からの紹介で受注する
1つ目が100万円を超える受注になった、サイト制作の例だ。このサイト制作では3社とのコンペになった。弊社は100万円を大きく超える金額で見積もりを出したが、他の二者は100万円を割るような金額での見積もりだったそうだ。
結果、最も高額なうちの提案が通ったわけだが、最終的になぜうちの見積もりが通ったのか?と聞いてみると「重要な取引先が紹介してくれたから」というものだった。ある会社からの紹介だったが、その会社との関係性を考慮してうちを選んだということだった。
価格とか内容とか価値とか、そんな部分で選ばれたのではなかったのだ。紹介してくれた企業とお客さんとの関係性で我々は受注できたのだ。
その2:他の部署からの紹介で受注する
2つ目は商社時代の経験だ。大きな工場が建設されるということで、そこにうまく食い込みたかった。東京の上司に相談したところ、すでに契約が決まっている別部署から紹介してもらうという方法をとってもらった。
すると今までは相手にされなかった大きな工場の担当役員から連絡が来て、スルスルと契約が決まったのだ。他の部署からの紹介ということで、その部署の責任者の顔を立てる形で契約してもらったというわけだ。
これも俺が価値を提供したわけでもないし、価値を示したわけではない。しかしこのように受注につながったわけだ。
価値よりも関係性が営業では大事
私も若いうちは「完璧な提案、ロジカルに価値があることを伝えれば、相手は発注してくれる」と思っていた。しかし残念ながら営業を受ける側もそこまで暇じゃないし、ロジカルに価値を伝えられても、仕事の優先順位で必ずしも高いものであるとは限らない。なので、価値をうまく伝えられたとしても受注につながることは少なかった。
それよりも上で紹介したパターン、他社からの紹介というものが最も受注につながった。もちろん高い金額での発注につながっている。もしかすると、これは大阪・関西というのが大きな理由かもしれない。東京だったらちゃんと価値を見るのかもしれない。
しかし残念ながら必ずしも価値を伝えたからと言って、受注につながるとも限らないし、高い値段で受注できるとも限らないということを知っておくことは重要だ。今でも営業は接触回数が大事だと言われているのはなぜか、考えておく必要があるのではなかろうか。