大坂なおみ選手が全米オープンで優勝ということで、えらく盛り上がった。錦織圭選手あたりから、日本でもテニスがちょこちょこ盛り上がるようになってきたのはいいことなのだろう。
さて、そんな大坂選手の会見で自分のアイデンティティについて質問した記者が炎上していた。
質問した記者のTwitterはリプライがすごいことになっていた。みんなガンガン批判ツイート投げつけていたようだ。
大坂なおみさんの帰国会見の取材に来ています🎾テニス・全米オープン優勝後、日本での初めての会見の場。会場がぎっしり埋まるほど、報道陣が詰めかけています📸会見は9時半スタートの予定です🖋 pic.twitter.com/6dvaEd2TeZ
— Rio Hamada / ハフポスト (@RioHamada) September 13, 2018
日本人っていったい?
大坂なおみ選手はテニスの国籍は日本ということになっているが、親父さんがハイチの方だそうだ。母親は日本人で、ハイチと日本のハーフということになる。生まれたのは日本の大阪だそうで、靭公園などでもテニスをしていたそうだ。で、4歳の頃にアメリカに移住したそうだ。
つまり彼女は日本生まれアメリカ育ちのハイチと日本にルーツを持つ人物、ということになる。マスコミはじめ、多くの人達も彼女を日本人として認識している。「日本人初」と言う触れ込みからもそれはわかるだろう。
ではいったい日本人はどこまで日本人なのだろうか?
例えば陸上で言えばケンブリッジ飛鳥選手、日本代表として活躍している。元サッカー日本代表のラモス瑠偉さんはブラジル生まれでブラジル国籍と日本国籍を保有している(ブラジルは国籍を放棄できないそう)。
スポーツ以外では青色発光ダイオードの開発でノーベル賞をとった中村修二さん、同じくノーベル物理学賞を受賞した南部陽一郎さんはアメリカ国籍を取得している。日本生まれのアメリカ国籍なのだが、実際にノーベル賞を取得した日本人の中に数えられている。
日本国籍があれば日本人なのか?というと南部さん・中村さんの例から見てもそうではないようだ。生まれが日本であることが重要なのか?というと、ジャマイカ生まれのケンブリッジ飛鳥選手やラモス瑠偉さんは日本代表になっている。
ルーツというアイデンティティ
もう一つ、この問題を考える上で面白いニュースがあった。2018年ワールドカップでフランスが優勝したのだが、優勝はアフリカだという書き込みが議論を巻き起こした。確かに一躍スターになったエムバペやポグバなど、アフリカにルーツを持つ選手は多い。
サッカーで言えばもう一つ、このルーツや国籍、民族というものをよく表しているインタビューがある。ベルギー代表のロメル・ルカクのインタビューを書き起こした下記の記事が興味深い。
上記書き起こしでこのような部分がある。
ベルギーもルカクをベルギー人として扱ってはいる。しかし調子が悪いときには彼らは「ルカクは俺たち純粋なベルギー人とは違う」と考えているのではないか?と推測できる。フランスも優勝できなかったとしたら、このように「フランス人だがフランス人ではない」というような扱いを受けたのだろうか。
ルーツと国籍と育った環境と
今やグローバル時代となり、多種多様な人が日本にも世界にも存在している。ルーツも様々だし、育ってきた環境も様々だ。近々ラグビーワールドカップがあるが、ラグビー日本代表にはたくさんの外国ルーツの方がいる。国籍が日本でなくても日本代表になっている選手もいる。
我々はどこまでを日本人として捉えるのだろうか?大坂なおみ選手がアメリカ国籍を取得し、日本国籍を放棄した場合、彼女を日本人として考えるのだろうか?それともアメリカ人として考えるのだろうか。
また、彼女がテニスでいい成績を残さなくなったとき、彼女を日本人として扱うのだろうか、それともハイチ系日本人として、純粋な日本人とは違うと扱うのだろうか。