日本では企業経営・マーケティングといえばこの人、というくらい有名なドラッカー。世界的にはそこまでじゃないようだけれども、ドラッカーの指摘することはかなりまともで、日本人なら納得しやすい事が多い。
そしてこの本では様々な常識をくつがえすような提言をしているのも面白い。本書に出てくる常識を覆されるであろうドラッカーの提言を紹介しよう。
プロフェッショナル意識が組織を滅ぼす
プロフェッショナルであろうとすること、プロ意識というのは非常に重要と考えられているが、ドラッカーはそれが危ういという。
プロであるということ、プロであろうとすることは悪いことではない。ただ「なぜプロであらねばならないのか」という目的を持たない場合は最悪の方向に進みかねないという。企業の目標とプロ意識が必ずしも同じ方向を向かないことがあるというわけだ。
例えばホームページ作成でウェブデザイナーがプロらしくかっこいいデザインを作ることがある。デザインのプロなのだから、素人にできないウェブデザインを行うことが仕事だ。ただ、組織・企業の目的は決してきれいなウェブデザインを行うことではない。多くの企業に効率的に良いウェブサイトを作り、利益を上げることだ。
デザインのプロとして良いデザインを作ることは必ずしも会社の目的と一致しないこともあり、一致しない場合には悪い影響を与えかねないということだ。プロ意識は良いことのように思うけれども、一概には言えないということだ。
販売とマーケティングは対立しうる
もう一つは「販売とマーケティングは対立しうる」という考え方だ。
トップセールスマンがいる企業があるとしよう。毎月毎月、商品を一般的な営業マンの倍は売る。他の人には真似できないし、多大な利益を企業にもたらしている。
しかしマーケターとして考えないといけないのは「このトップセールスマンに頼る方法がベストなのか?」ということだ。企業として販売を継続して多く行い、利益を残していく、最も良い方法は他にないのか。もしかするとどんな営業マンでも受注できるマーケティングを基礎にして各営業マンに活動してもらうほうが、より利益が残せるのではないか。
販売するセールスマンの能力が高いことは企業として喜ばしいことだ。しかしマーケティング戦略を組んだときに、そのセールスマンのやり方と反対の方法を選ぶこともあるわけだ。このあたり、フミコフミオさんが実例を用いて書いているので良ければ参考にしてみてほしい。
このように面白い話がたくさんあり、目からウロコのことも多い。マーケティングに興味のある方はぜひ読んでみてほしい。