働く上でどういうスキルや経験をつければいいのか?どういう考え方でどういう行動をとればよいのか?バブルが崩壊して終身雇用が崩壊してしまったことから、考えなければならなくなった。それはフル・パートタイム限らず、男女も高齢者ですらも考えなければならない時代だ。
そこで理系の条件だ。これはエンジニアをはじめとした理系のお話がメインで書かれているが、文系だろうが理系だろうが関係なく参考になるし、皆が考えないといけない事が書かれている。
理系的スキル+文系的スキル
本書で取り上げられている提言として「T字型スキル」というものがある。T字型というのは縦の棒線が専門スキルで、深い知識と経験にあたる。そして横の棒線が専門以外の幅広い知識と経験を指す。
つまり専門スキルだけでなく、浅くてよいので幅広い知識をつけることで自分自身の武器になるというわけだ。ちなみに著者は半導体エンジニアの知識・経験を持ちながら、MBAを取得したという。まさに理系+文系、かなりレベルが高いのでほぼ真似できる人は少数ではあるが、その行動や考え方は参考になる。
もう一つ似たような話として「1人でなんでもできる」ということはもはやありえない、と書かれている。日本でも海外でも、自分たちのスキルや経験を活かしつつ、他の分野や他企業、他の部門とコラボして仕事をする必要がでてきたという。つまりこれは昔よりも仕事のレベルが上がっていると言える。
昔は確かに研究だけやっていれば、開発だけやっていればOKという時代もあったかもしれない。しかし今の時代、他の方と一緒にやっていくコミュニケーション・リーダーシップなどのスキルが必要ということだろう。私も全くそのとおりだと思う。
異分野で自分のスキルを活かすということ
「そうはいっても著者は海外のMBAに行って、東大で教授になれるくらいの人だ。自分に真似なんてできない」と思う人も多いだろう。確かに著者のようにトップクラスに優秀な方の真似をするのは難しいし、私を含めほとんどの人は海外のトップ大学院でMBAを取ることなんてできない。
ただ「T字型スキル」に近いことはできる。それが異分野で自分のスキルを活かすという方法だ。
私のメインのスキルはウェブマーケティングとそれに付随するサイト制作等だ。私のスキルはトップレベルではなく、ごくごく汎用的なレベルだ。たくさんいるウェブ広告関係者と変わらないし、サイト制作で言えば中の下くらいだろう。
しかしこんな私のスキルであっても、別の分野に行けばすごく重宝される。それが障害者福祉の分野だったり、保育の分野だったりする。障害者福祉の分野では就労支援のためにPCを教えているが、私のレベルでもだいぶ高い。というか、そもそも福祉分野にITなどに詳しい人がほぼいないのだ。
保育についても同じで、保育士になるために短大で勉強している学生たちに教えているが、教えられるレベルだ。たぶん、IT業界で私のようなレベルのサイト制作の講師は通用しないと思うが、保育分野・障害者福祉の分野なら通用するのだ。
これはおそらく多くの人たちが使える方法だと思う。ウェブのスキルを他分野に活かす、運転技術を異分野に活かす、営業スキルを活かすなど、様々考えられる。意外に業界ごとに足りていない部分というのは多いのだ。
ぜひこの本を参考に、自分のキャリアを考えるのをおすすめしたい。