希望のかなた、見てきました。相変わらずアゴラの渡さんの紹介している記事を見て、あとで見ようと思っていた作品。この映画は渡さんの2017年の映画ランキングでも結構上位にあったのだが、たしかに私もグッと心臓を掴まれるような映画だった。
順風満帆ではない人たちがやさしくしてくれた
フィンランドを舞台にした映画で、シリア難民の男性が主人公。この主人公は家を爆撃でふっとばされて、家族を殺された。唯一、妹と二人で生き延びて様々な国を渡り歩いてきた。そして船で寝ていたらフィンランドについてしまった、というわけだ。
フィンランドで放浪していて出会ったのがあるレストランだ。オーナーは大金持ちでもなく、家庭が順調でもなかった。レストランで働く従業員は前のオーナーが給料未払いだったりして、決して豊かではなかった。しかしそんな彼らが主人公を警察から匿い、同じ従業員として一緒に働くのだ。
主人公の周りには優しい人たちがたくさんいる。もちろん難民受け入れに反対するネオナチの男も出てくるのだが、それ以外はみんな優しい。同じ中東で戦争相手国の人も主人公の妹探しに協力してくれる。しかし優しい人たちはみんな自分の人生が順風満帆であるわけではない。ある人は同じ難民だし、またある人は妻との関係に苦しんでいた。
みんな自分のこともあるのに、主人公に優しくしてくれるのだ。
河島英五の時代遅れという歌に「昔の友には優しくて 変わらぬともと信じ込み あれこれ仕事もあるくせに 自分のことは後にする」という歌詞がある。主人公と出会った人たちは友達ではないが、みんな自分のことよりも主人公のためにと動くのだ。出会ったときにもう彼は友だちになったのかもしれないけどね(笑)
誰でも今すぐ人に優しくできる
「お金持ちになったら寄付するという人は、今でもお金持ちになっても寄付はしない」と言われているのをご存知だろうか?NPOや市民活動系で聞いた言葉だ。逆に言えば寄付をする人というのはお金を持っていようとお金を持っていなかろうと、寄付をすると言われている。1円かもしれないし10円かもしれないが、金額の多寡にかかわらず寄付をする。
この映画に出てくる人たちの多くはみんなお金持ちではない。自分の人生を完璧に過ごせている人も少ない。にも関わらずみんなが主人公に優しくしてくれるのだ。そう、人にやさしくすることは、お金を持っている・持っていないに関係なく、誰にだって今すぐにできることなのだ。
この映画は人にやさしくすること、それを教えてくれる。難民を扱った映画だけあって、一国平和主義を暗に批判しているのかもしれない。
でもこの映画を見たあとは、私も見た後は周りの人に優しくしないとな、助けてあげないとなと考えを改めた。あなたもぜひ希望のかなたを見たら、周りの人にやさしくしてほしい。