違法アップロードされたマンガが無料で読み放題というサイトが少し前から話題になっている。違法ダウンロードサイトの問題は長く存在していて、私が知りうる限りではwarazや割れずと言われていた時代、windows95あたりからアンダーグラウンドでは存在していた。その時はwindows98のOSそのものやAdobe製品などをダウンロードして違法コピーすることもよく見かけられた。
もちろん違法であるにも関わらず、今でもマンガ以外にもアダルトビデオやテレビ・映画など、様々なコンテンツがアップロードされている。違法のためにYouTubeやその他動画サイトでも、見つけ次第削除されているようだ。
マンガ業界は音楽業界を参考にすべし
はじめに紹介したTogetterでもあるように、違法アップロードされたことによって漫画家は連載打ち切りという大ダメージにつながってしまう。コミックをしっかりと買ってくれる事によって、マンガは存続し、漫画家も生きながらえる。
上記で紹介したTogetterでは「漫画家はコミックの販売で連載が続くかどうかが決まる。違法アップロードされたものを読んでくれても、連載が続けられないからコミックを買ってほしい」といった趣旨だろう。
コレ、おそらくなんとなく既視感あるなと思った人が多いかもしれないが、CDが売れなくなった時代のアーティストと同じ事を言っているのだ。CDの貸し借りなどは昔からあったが、インターネット時代にはP2Pソフトなどをつかって音楽をやり取りしたりしていた。さらにYouTubeやニコニコ動画に音楽が違法アップロードされるようになったのだ。
おかげでCDが売れなくて困ったことになり、コピーできないCCCDが販売されるなどした。ネットの要望に答えて音楽をCDではなく配信することになったが、1曲300円程度するので、なかなかダウンロードも増えない。結局、今多くのユーザーはYouTubeで無料視聴し、レンタルCDを借りてリッピングしているのだ。
ライブ、定額配信という新しい形
ではその音楽業界で働くアーティストはCDが売れなくなったから食えなくなったのか?というと、一部はたしかにそういう人もいるが、今でも音楽活動を続けている人が多い。では、今どういうふうに稼いでいるか?
一つはライブだ。ライブを積極的に行って、ライブをネット配信するなども行っている。グッズ販売なども重要だ。もう一つが定額配信、つまり権利収入だ。海外では当たり前のSpotify、日本だとAmazonプライムのほうが主流かもしれない。海外では著作権料を払っていないという話も出ているが、おそらく今後も定額配信の仕組みは進んでいくだろう。
例外的な部分ではCDにおまけを付けて販売するというのも日本ではよく見られる。CDを複数種類作って、一人のファンに2枚3枚買ってもらうパターンだ。AKB48グループのように握手券をつけたり、EXILEグループのようにカードを付けるなどでCDそのものの販売を増やそうとしている。
音楽業界はマンガよりも先に違法アップロードに直面し「食い扶持をどうするか?」を考えるに至った。だから音楽業界でアーティストが食べていくために今までしてきた工夫というのは、漫画家にとっても参考になるはずだ。
マンガ家は今後どう振る舞うべきか?
ぶっちゃけて言ってしまえば、マンガ家は今までのように商業誌デビューをして、連載を書いて、コミック販売で稼ぐというパターンだけでは食っていくのが難しい時代になったというわけだ。その一端を担ったのが違法アップロードだったのは確実だが、実際には違法アップロードだけでなく、ネットの発展・スマホの登場が大きいだろう。
つまりは時代の流れが変化することをマンガ家にも求めているのだろう。
個人的にマンガ家も今後は振る舞い方を考えたほうがいいと思う。それこそ佐藤秀峰さんのように権利や生活を守るために戦うのも一つのやり方だと思う。また、同人活動を続けて商業デビューとシナジー効果を発揮させるというのも一つだろう。
マンガ業界として新しい時代への対応を早急に行ってほしい
ただ出版業界は音楽業界など、他の違法アップロードへの対策・スマホ時代への対策が若干遅いような気がしている。雑誌読み放題のサービスなど、優れているものもあるのだが、マンガは未だに私が子供の頃と変わらずコミックで読むのが主流だ。電子書籍も安くないし、ビューワーも優れているとは言えない。
漫画喫茶に言ってもマンガを読むのはコミックで、iPadやタブレットで読むということはない。個室ビデオであればDVDだけでなく、最近はネット配信でアダルト動画も豊富に見れるというのに、どうもマンガ業界だけは動きが遅いように見える。その動きの遅さがマンガ家に負の影響を与えているように思う。
私も漫画喫茶へ行ってマンガを読んで、ブログでマンガの記事を書くくらいマンガ好きだ。なので、マンガ家がのびのびと楽しく作品を書いてくれるような環境を作ってくれるよう、出版社に望みたい。