思い出したから書くんだけど、こないだの勉強会でAIの話になったのよ。いや別にAIの専門家誰もいないんだけどね(笑)で、どこぞのおっさんが「事務職なんてAIにとって変われるんだから」とか言っちゃってんの。
多分夕刊フジとかのタブロイド紙とかに載ってたんだんだろうな、そういう話が。で、そのまま話しちゃったんだと思うけど、なにを与太飛ばしてんだとしか思えんねぇ。事務職がAIに取って代わられるのなんて、あと2世紀くらいはかかるんちゃうか?少なくとも俺が死ぬまでには無理やで。
AI事務員ができるために必要な3つの条件
まずAIが事務職員の代わりを担えるようになるまでに、幾つかの条件が存在する。
一つがAIのレベルだ。AIのレベルが事務職員の行っている仕事ができるようになるレベルまで行かなければ、取って代わることはない。事務員が行っている仕事は多種多様だ。来客対応に電話対応、事務書類作成に雑務、掃除などなど。これらすべてをAIができるようになり、一つの事務員システムに統合されるのは100年以上先だろう。
二つ目がコストだ。AI事務員が仮に出来たとしよう。しかしそのコストを支払えるだろうか。あの大きな話題になった囲碁AI、AlphaGoについてはサーバーの運用料金だけで30億円は年間にかかってくるという。
一方の事務員は人件費コストで言えば300~500万円と言ったところだろう。30億円の1000分の1で済む。しかも30億円払って囲碁しか出来ないのだから、さらに事務員としての機能を搭載したAIとなれば、年間運用コストは莫大に上がるだろう。もちろん商用になれば、開発コストも回収し、利益も出さないといけないのでさらに高い利用料になる。
この事務員の人件費コストをAI事務員が下回らない限り、仕事がとって変わられることはない。
三つ目が心理的障壁だ。日本では事務員イコール女性という意識がまだまだ強い。男性を入れることすらも消極的な日本で、さらにロボットやAIシステムを事務員として採用するだろうか?女性事務員がいなくなることに、反対するのはおそらく女性事務員当事者よりも、オジサン管理職ではなかろうか。
オッサンは知った口を利くな
以上の3つの観点から見ても、AIが事務員の仕事に取って代わる、なんていうのは何世代もあとの話でしかない。にも関わらず与太話をしているおっさんたちは自分たちが無知なのを晒しているのだということをよくわかってほしい。
オッサンは若い人に知った口を利くなと言うが、その言葉はそっくりそのままお返しされたほうがいい。オッサンこそ知った口を利くべきじゃない。わからないなら黙るか、それとも自分で正しい知識・知恵を身につける勉強をするかだ。
そんなタブロイド紙や週刊誌で得た間違った知識を開陳するのは、アナタのためにもならないし、勉強会参加者のためにもならないことを理解してほしいもんだ。