ここ数日、アゴラで宮寺達也さんという方がビジネス系のコラムを書いておられた(アゴラでは消えているので、宮寺さんの個人ブログを紹介)。事例を用いたもので大変リアリティがあって私は隅々まで目を通させていただいた。この3つの記事は非常にわかりやすく、ぜひ20代の若いビジネスマンの人たち・就活生にも見てもらいたいと思う。
なぜ当たり前のことは方針足り得ないか?
さて、3つのエントリーを紹介したが、最後に紹介している「あたりまえ体操」で見抜くリーダーの資質では、なかなか興味深い指摘をされている。管理職や役員・社長が企業の方針について述べる時、当たり前のことしか言わない、という話だ。
「ライバル会社の3倍でPDCAサイクルを回す」や「不具合を減らしましょう」「新しい技術にチャレンジしましょう」などと言ったことを方針として喋っているという。一見するとすべて正論ではあるが、当たり前すぎて言わなくてもいいようなことばかりでもある。
なぜこういう当たり前のことが方針にならないのか?というと、企業経営にはリソースが限られているためだ。
- 「PDCAサイクルを早く回す」
- 「不具合を減らす」
- 「新しい技術にチャレンジする」
みんなやったほうがいいことではあるが、全てを並行してこなしていくことなどできない。なんにでも優先順位というのがある。
例えば、ある業務システムを販売しているA社とB社がいるとしよう。A社は従業員5人の大阪の企業だ。対するB社は従業員200名で東京に構えている企業だ。さて、似たような業務システムを販売している2つの会社だが、同じように営業方針を立てるだろうか?そんなことはまずありえない。
なぜか?それはリソースが違うためだ。5人で営業が回れるところは限られている。かつ大阪という場所で東京の顧客に営業をかけるのはコストがかかる。一方で東京に会社があれば、営業コストは安くなる。かつ200人も営業マンがいれば、効率を考えなくても全員でローラー作戦もできる。
何の変化を起こすのか?が方針になりうる
というように、リソースが限られているために何でもかんでもできないのだ。だからこそ必ず「これはやらない」と「これに注力する」というのを決めないといけないのだ。リソースは有限であるため、それを最も効率良く使わないといけない。だからPDCAを3倍回すというのであれば、3倍回すためのリソースが必要なのだ。
3倍のPDCAを回すために、IT系のコストをドカンとかけるのか、人材を採用するのか、権限を現場に移動させるのか、会議を減らすのかなどなど「3倍に回すためにこれをやる!」というのが必要になる。当たり前のことをやるために、何らかの施策を行う必要がある。この何らかの変化こそが方針と成りうるのだ。
というわけで、当たり前のことをいくら言っても方針にならない。それを達成するために何をするのか、今までの何をどう変えるのかということが必要なのだ。